尻尾で座敷を掃いた狸女房
どんな伝承か
親孝行の倅が母と暮らし、毎日山仕事をしていた。ある日、炭焼きの帰りに大きな狸が寝ているのを撃とうと狙う者がおり、倅が咳払いをしたので狸は目を覚まして逃げた。後日、囲炉裏端に好い女が来て、信田の森の者だが助けられた恩返しをしたいと言い、家に置かれるうちに倅と夫婦になり子も生まれた。ある朝、正体を現したくなった女が尻尾で座敷を掃くのを娘に見られ、「恋しくば尋ね来てみろオナバケ原へ」と書き置きしてオナバケ原へ帰り、狸に戻ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
成田市史 民俗編――昔話・伝説(成田市(編)・成田市史)
『成田市史 民俗編――昔話・伝説』は、成田市が編んだ市史の民俗編のうち、口承文芸の節を収めたものである。昭和五十二年から五十四年にかけての聞き書きをもとに、話者の一覧表を掲げ、喰わず女房や猫の踊などの昔話二十六話、多古の殿様などの笑話二十二話、七不思議・巨人・塚・坂・主の話など成田の伝説十二項を載せる。昔話と笑話の題には『日本昔話集成』の型番号を付し、語り始めの句や語りの場の解説を添え、末尾に世間話の節の冒頭を収める。