赤坂村の水口祭りと御神札
どんな伝承か
苗代に水を入れるときにも祭りが行われたことは、『丹後峯山領風俗問状答』からうかがえる。それによると赤坂村では、三月九日に保食神と草姫を祀る社で水口祭りの神事が執り行われ、古くから伝わる祭式を神官が勤めて、あらゆる穀物がよく実るよう祈祷した。農家は苗代へ水を入れるとき、この祭りのお札を竹に挟んで水口に立てたという。記録は他の国々の問状答と同じく文化十年ころのものとされるが、同じような祭りは今も各地で見られる。
原典より
すなわち、三月九日になると赤坂村では、保食神、草姫を祭る社で、「水口祭り神事執行仕候、一社伝来之旨候而神官其祭式を勤申候、是刻百穀能成之祈禱に御座候、農家苗代へ水を入候時、…—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。