火の玉となり嵐を呼ぶ一目竜
どんな伝承か
柳田国男は片目の神の由来をたどるなかで、伊勢の多度神社の摂社である一目連社の神に目を向けた。この一目連神は雨乞いによく効く神として知られ、その姿は大蛇だという。昔、山崩れのときに熊手の先が目に当たったとして一目竜とも呼ばれ、ときには大きな火の玉となって出歩き、暴風を起こす荒ぶる神として恐れ敬われたと伝えられる。柳田はこれを、鍛冶の神である天目一箇神と片目の信仰とを結ぶ手がかりの一つとした。
原典より
伊勢多度神社の一目連神が雨乞いの霊験高き神であり、その形は大蛇で、かつて山くずれの際、熊手のさきが当たったと称して一目竜といわれ、時に大いなる火の玉となって遊行し、…—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。