死の忌みの家に泊まった金屋子神
どんな伝承か
民俗学者・牛尾三千夫が比婆郡で採集した伝説によれば、昔、天から下った金屋子神が日暮れて宿を求めたところ、一軒目の家は産の忌みがあるとして断り、もう一軒は死人があったが死の忌みを厭わないならばと承知して泊めたという。それ以来この神は死の忌みを少しも嫌わず、その代わりに血の忌みを大いに厭うようになったと伝えられる。金屋子神はタタラ場や鍛冶場で祭られる統一神で、月の穢れも極度に忌む性格を持つとされる。
原典より
昔、金屋子神が天から下った時、日暮れて宿を乞うたのに、一軒の家は産の忌みがあるとて断わり、そこでもう一軒の家へ行かれたところ、ここは死人があったが、死の忌みをきらわずばと申し、神は承知して泊まられた。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。