播磨安高が狐を見破る
どんな伝承か
『今昔物語』によると、近衛舎人の播磨安高は、若いころ内裏から西の京の家へひとりで帰る途中、九月中旬の月の明るい夜更けに、宴の松原のあたりで美しい女の童に出会った。言葉を交わすうちに、豊楽院には人を化かす狐がいると聞いていたことを思い出し、試してやろうと、自分は追いはぎだと脅して髪をつかみ柱に押しつけ、刀を突きつけた。すると女はひどく臭いものを浴びせ、驚いて手を放した隙に狐となって門から走り出し、鳴きながら逃げ去ったという。
原典より
其の時に安高驚て免す際に、女忽に狐に成て門より走出で、こうくこ鳴て大宮登に逃て去ぬ。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。