臼を背負って谷川に落ちた猿婿
どんな伝承か
父と娘三人の百姓家で、洪水に堰を流されて田に水が入らず、父が川原で泣いていると猿が現れ、娘の一人を嫁にくれるならと申し出て堰を上げ田に水を引いた。約束を思い悩んで父が寝込むと、上の二人は断り、末娘だけが十五になったら嫁に行くと承知して祝言が調った。里帰りの日、猿婿は臼を背負ったまま川端の高い岩の桜に登り、細い枝が折れて谷川へ落ち、辞世の歌を詠んで流れ死んだ。娘は酒樽を提げて里へ帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。