竜の剣堀に石を投げた雨乞い
どんな伝承か
吾妻山権現から流れ出る権現川の下流、中津川に竜の剣堀という所がある。大きな石に掘られたへこみに水が溜まり、何十日日照りが続いても涸れることがなく、ここへ石を投げたり悪戯をしたりすると必ず雨が降り出すと言い伝えられてきた。天明のころ、春からの日照り続きで会津盆地も猪苗代平野も井戸水さえ涸れ、藩を挙げての雨乞いも効かなかった。藩公は郷頭や肝煎を集めて相談し、竜の剣堀へ石を投げ入れることを武士に命じた。選ばれた若者が石を投げ入れたと思われるころ、黒雲が湧いて雷雨となり、一行は命からがら山を下った。以後は寒い雨が降り続き、遂に大飢饉を招いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。