西へ西へと言い当てた下宿寺の和尚
どんな伝承か
夏目漱石は大学を出たころ、小石川のある寺に下宿していた。その寺の和尚は看板こそ出さないものの易占を内職にしており、あるとき話が人相や方位に及んだ。漱石が冗談半分に自分の未来を尋ねると、和尚はじっと顔を見つめてから、大して悪いこともありませんなと答え、続けて親の死に目には会えない、西へ西へ行く相があると告げた。実際に漱石は一年たたぬうちに松山へ移り、熊本を経てロンドンへ渡る。母は同じ東京にいながら臨終に間に合わず、父の訃報も熊本で電報として受け取った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究・昭和(著述))
田中千代松『新霊交思想の研究―新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜』。19世紀半ばから20世紀の心霊研究の歴史を体系的にたどる学術書。