大津東町と染めたアブヨケ
どんな伝承か
馬の守りとしては腹当てがある。アブヨケとも呼ばれ、昔の草双紙の絵に見え、田舎ではまだ見かけることもあった。これに白く「大津東町上下仕合」、あるいは単に「大津東町」と染め抜いてあり、これを掛けておけばギバが見逃してくれるという。実際、このアブヨケを着けた馬がギバにかけられて倒れたのを見た者はいないといわれていた。なぜこの文字にそれほどの力があるのかについては、大津の馬神社や孝行な馬子の娘など、いくつかの言い伝えが語られている。
原典より
また不思議と此アブヨケをした馬がギバにかけられて斃ちたのを見た事がない、と謂はれてゐる。—— 民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)
『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。