山伏が金を英彦山へ投げた金まき岩
どんな伝承か
英彦山の山伏たちは毎年の修行を終えると九州各地の信者を回り、浄財を集めていた。ある年の秋、筑前の勧進を終えた山伏が奉納金を笈に入れて英彦山へ帰る途中、篠栗の宿を過ぎて八木山峠の険しい所で日が暮れ、山伏谷の籠堂で夜を明かすことにした。そこへ荒くれ男たちが現れ、金を出せと迫った。多勢に無勢、山伏は羽目板を蹴破って外へ出たが、目の下は断崖だった。英彦山大権現と役行者に金を守りたまえと唱えて金をつかみ英彦山の方へ投げ上げると、金は夜の嵐に舞い上がり、木の葉のように英彦山へ飛んでいった。山伏は斬り殺され、里人は山伏塚を築いて祀った。金をまいた岩は今も寺の庭の桜の陰にそびえている。
原典より
山伏が金をまいた岩(金まき岩)は、今も寺苑の桜のかげに、そそり立って、信仰のために非業の死をとげた山伏の霊を守るような、たたずまいを見せています。—— 篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌)
『篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異』は、筑前の篠栗町の町誌民俗編から伝説の章を収めた部分である。鉾立山の玉依姫、若杉山の岩にまつわる弘法大師や鬼の伝承、薬師・地蔵・観音の霊験、平家岩や古井戸の言い伝えを番号つきの項で並べ、『筑前国続風土記』などの地誌や説明板の文を引く。後半では狐に化かされた話や狐憑き、狸の法座、巷の笑い話、若杉山の白蛇と杵蛇、河童の話を、古老の語りを交えて記す。