指を六本彫った石工と導き地蔵
どんな伝承か
白鷹町十王の称名寺は、切支丹関係の古文書や十字架などで有名である。その参道脇に自然石に陽刻された見応えのある地蔵が建ち、寺の入口にあるので「導き地蔵尊」の名がついた。この地蔵には次のような伝説がある。石工は米沢の人で、精根込めて地蔵を彫りあげ、安堵して米沢に帰った。その夜は一盃の酒を飲んで床に就いたが、夜中になって己を呼ぶ声で目を覚ますと、枕元に地蔵が立っている。よく見ると、自分がようやく彫り終えた地蔵である。はっと思って足元を見て二度びっくりした。足の指が六本あったのである。石工は鑿を手に夜通し走って称名寺に着き、一本の指を切り落としたら、そこから真赤な血がさっと一筋吹き出したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。