一夜で杉山になった田
どんな伝承か
昔、新里の宮ノ下に若い夫婦が住んでいた。不幸や祝い事が重なって田掻きが遅れ、妻も出かけてサセトリのないまま夫が馬を出すと、いつの間にか十二、三歳の女の子が竿を握って馬の前に立っていた。女の子は何を尋ねても笑うだけで、昼になると姿を消し、また現れて手伝った。二日目、男は礼にと一文銭百枚を麻縄でくくって帯に結んでやった。翌朝、田掻きの終えた四反歩の田は杉山に変わり、その前に一文銭のくくりを提げた神様が立っていた。男は古老の勧めで、移転改築される新山社にこの神を合祀したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。