膳が一つ足りなかった三十三回忌の夜
どんな伝承か
曽祖父の三十三回忌の法要の夜、語り手は父に言われて子供の人数を数え、十二人と報告した。ところが膳を並べて座らせると一人だけ座れない子がおり、父に数え違いを叱られた。膳も空席も確かに十二で、隣の年上の子と一人ずつ確かめても間違いはなかった。縁側で藁を子供に見立てて数え直しても、やはり十二人であった。祖父に話すと、紙に名を書いて数え、やはり十二人だと確かめた末に「座敷わらすだ」と絶叫し、仏間の敷居で座敷の隅々を睨みまわした。数年後、病床の祖父は「間引き子でね」とだけ言い残して数日後に亡くなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。