身御供を求める大蛇と郡司の当番
どんな伝承か
みぞろが池の大蛇は池の汀に立ち上がり、上下胆沢の者は毎年一人ずつ美しい女を身御供に納めよ、さもなくば一夜のうちに五十七郷を揺り崩すと大音声で叫んだ。その年は下胆沢の清水が在家に住む郡司兵衛吉実が当番に当たった。ただ一人の娘を惜しむ女房に勧められ、吉実は身替わりの女を買うため都へ上り、辻々に高札を立てたが、奥州と聞けば誰も身を売ろうとしなかった。嘆いていると老僧が現れ、肥前松浦の里の長者の娘を訪ねよと告げて消えた。老僧は春日大明神であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。