鬼に搗かれる子を救った紅白餅
どんな伝承か
越後の六部が秋田から下嵐江へ向かう途中で日が暮れ、大木の根元で眠った。真夜中に目を覚ますと空は真っ暗になり、赤鬼と青鬼が石臼を据えた。鬼がコカワと呼ぶと痩せた人が現れ、鬼は臼に入れて杵で搗いた。搗かれた者は粉のようになり、鬼はそれを練り直して元の姿に戻し、明晩もこれだと言って消えた。六部は下嵐江から谷子沢・石渕・馬留・天沢と巡り、市野々で日が暮れた。餅を搗く家で紅白の丸餅をこしらえてもらい、笈に載せて祈ると、その夜コカワは餅を捧げ持って現れ、鬼は餅を取って今夜は許すと言った。コカワはその家の子であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。