外道を堆肥小屋に飼うと口走った男
どんな伝承か
昭和二十八年二月の朝日新聞山口版が報じた出来事で、著者は山口県の知人から切り抜きを送られた。前年十二月十二日、佐波郡和田村の二十歳の青年が帰り道で同じ村の男に呼び止められ、お前の祖父に外道をつけられた、祖父の口を借りて話すから聞けと言われた。男は自分の目が悪いのも息子の嫁が死んだのもそのせいだと語った。困った青年の家が部落の人々の前で男と対決させると、男は何かに憑かれたように正体をなくし、四つんばいで青年の家へ向かおうとして、あの家は堆肥小屋に外道を飼っていると口走った。皆で小屋を探したが何もいなかった。男は法務局で謝ったが、訴え出た青年の家のほうが部落で非難されたという。
原典より
この山間地方の部落には、外道つきの外に、犬神つき、狐神つきなど、昔ながらの迷信が残つており、村の有識者も大半は信じている。—— 憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・1953年(昭和28年)初版・1956年(昭和31年)新版) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・1953年(昭和28年)初版・1956年(昭和31年)新版)
『憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)』は、速水保孝が昭和二十八年に著し、昭和三十一年に書き加えて新版とした研究書である。出雲・隠岐を中心とする山陰の狐持ちなど、家筋に結びつけられた憑きもの迷信を、法務局が扱った人権事件、藩の触書や村の古文書、加茂町の世帯調査から集めている。狐持ちの家に生まれた著者の体験から説き起こし、江戸中期以降の新興地主への反感に起こりを求める。柳田国男が序を寄せている。