墓土で洗い落とす生まれ変わりの印
どんな伝承か
死んだ子の体に印を付けて葬ると、その印を持った子がどこかに生まれ変わるという言い伝えは各地にある。長野県松本では、死児の手足に墨で印をして葬ると、どこかで生まれる赤子の同じ所に同じ印が現れ、それを消すには死んだ子の墓の土で洗わねばならないと信じられていた。実際にある家の赤子にその印が出たとして、墓の土をもらいに来たことがあったという。掌の字や痣を生まれ変わりの証とする話の一つで、本人が前世を語る型とは違い、体に残る印で生まれ変わりを確かめるのが特徴である。
原典より
それを落すには死児の墓土をつけて洗わねばならぬ」という信仰で、某家の生児にそれがあったと墓土を採って行ったことがあったという。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。