安寿姫の岩木山一代記祭文
どんな伝承か
岩木山の権現の一代記を語る祭文である。津軽の岩木高神は津軽の国に生まれ育ったのではなく、遠く加賀の国に生まれた。父はまさあき、母はおさだといい、母が十五で産んだ子はずし王丸、十六で産んだ子はお藤、十七で産まれたのが我で、あんじゅうの姫と名づけられた。父はこの子は自分の子ではない、どこかの庵住の子に違いないと言って母をいじめ、山奥の砂浜に棄てて来いと迫る。母は絹の下着に子を包み、青竹三本を差して露を飲めと言い残して去った。やがて母は泣き暮らして盲目となり、離縁されて阿波の国の加藤左衛門を頼って旅に出たと語られる。
原典より
アファイヤ、南無神明や、天照皇太神宮や、岩木の権現、下り居の観音聖観音や、十一面観音や当寺百沢遠くは熊野路や、音無川の水増せば、黄金花咲ぐお岩木様や、姿に見せで呼び申そうや、只今立寄する岩木山一代記を物語るしだいではござ…—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。