牡鹿の疵から開かれた浅虫温泉
どんな伝承か
浅虫温泉の起こりを語る話である。むかし円光大師がこの地を巡錫したとき、蒸気が沸々と昇る間に一頭の獣が浴しているのを見た。それは牡鹿が受けた疵を湯に浸しているのであった。四、五日の後、鹿は駆けて行き、行方は知れなくなった。大師はここで人にも効き目があるかと試み、こうして開いたのが浅虫温泉であると伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。