墨染の衣を掛けられた山桜
どんな伝承か
瀬見の湯で産後の養生をしていた義経の奥方が、盛りと咲きほこる山桜を見ようと、常陸坊の背に負われてブドウ山と牧峰の中ほどの山に出た。あまりの見事さに時のたつのを忘れ、夕方になって帰ろうとしたとき、常陸坊は墨染の衣を脱いでかたわらの枝に掛け、奥方を背負って山を下りた。そのためこの桜を「墨染めの桜」といい、満開の花の中にただ一つ墨のついたような黒い花が咲き、それを見つけた者は幸福になるといった。その桜は今は残っていない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。