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麦の葉で摺る信夫文知摺石の石紋

所在地福島県福島市山口(文知摺石)
年代伝承(口承)
登場無筆の妻
出典日本伝説大系 第3巻

どんな伝承か

むかし、ある百姓が都の勤めに上ったきり、なかなか帰らず音沙汰もなかった。夫の安否を気づかった妻は文を送ろうとしたが、無筆であった。そこでこの石の根もとに立ち、通りすがりの人に書いてもらおうと紙を用意して待っていた。やがて彼女は、心の思いを文にはできないけれど、せめてふる里の石紋を紙に写して送ろうと思いつき、かたわらの麦の葉を取って、紙面が青くなるまで心をこめて石に摺りつけた。都の夫に届けられたこの石紋摺りは、不思議にも文字となって妻の思いを言い尽くしたという。これによって、もじずり石の表を麦の葉で摺れば恋しい人の面影が写ると言われるようになった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))

『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。

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