仮館と佐々連に残る平家落人の跡
どんな伝承か
寿永四年三月、壇ノ浦で敗れた平氏の残党は四方へ散り、一部は響灘を越えて萩の浜に上がると、清らかな大河をさかのぼって山深い川上の里へ入ったと伝える。平家山の麓から佐々連川を分け入った清宗の一党は仮館に仮の屋形を構え、ほかの者は佐々連・深草・鶴ヶ谷、さらに別所や麦谷へと散って住みついた。仮館には上ノ木戸・下ノ木戸などの門名が残り、金田家の裏には維盛の伯母の墓と呼ぶ石がある。佐々連の鍾乳洞は姫たちが隠れ住んだ場所と語られ、洞内には千畳敷・ゆるい・踊り場と呼ぶ一角があって、飢えて愛馬を食べたという馬の骨も出たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。