霊動の起きなかった大刈峠の招霊
どんな伝承か
七月九日の午前零時、記者たちは阿武町に住む霊能者の佐々木国枝さんと萩市のOL村岡恵美子さんを伴って大刈峠の現場へ向かった。途中のカーブで村岡さんが前方の白い影に悲鳴を上げたが、運転手によれば対向車線の道路標識だった。遺体が捨てられていたガードレール下の出っ張りを前に、佐々木さんは二十分ほど経文を唱え、気合いをかけてもう一度祈ったが、神はここに霊はいないと告げたという。霊がいれば自分の体に霊動が起きるはずで、佐由美さんの霊はこのあたりにいないのだろうと佐々木さんは説明した。
原典より
私がこれだけお祈りしても出てこないということは、成仏したかどうかはべつにして、佐由美さんの霊がこのあたりにいないのでしょう。—— お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けは生きている――科学にとり残された霊の世界』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した、怪異と心霊をめぐる読み物である。読者から寄せられたお化けの報告や沖縄の刑場・遺念火の話、長崎の宅島夫人の霊視、和漢の古書に見える妖草妖木・狐・天狗・人魂などの物の怪、フォックス家事件やクルックスの実験など欧米の心霊研究を扱う。著者が始めた「お化けを守る会」の由来、西丸震也・星新一との座談会、透視や念力を試すテストを含む全七章に、あとがきを添える。