一夜で競い架けた鬼の雄橋と雌橋
どんな伝承か
むかし、東城町帝釈の鬼神山に、二匹の鬼の親分がそれぞれ大勢の子分をひきつれて住んでいた。あるとき酒を飲みながら勢力を競い、けんかをすればどちらかが負けて互いに損だというので、けわしい崖のある川に橋のかけくらべをすることにした。日が暮れてから朝日が出るまでの間に石の橋をかけ、どちらがよくできたか二人で見て歩くと決めた。両親分は子分を叱りつけて大石を運ばせ、せっせと橋を造ったが、朝になると一方の橋はみごとにできあがり、もう一方は半分しかできていなかった。負けた親分は勝った親分の弟分になり、りっぱにできた橋が雄橋、半分しかできなかった橋が今の雌橋だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。