竜宮の竜がともす法輪寺の灯明
どんな伝承か
倉敷市帯江に伝わる。日間山法輪寺の本尊は、千二百年ほど前、このあたりがまだ海だったころに竜宮から流れ着き、山の麓に漂着したものだという。寺に安置してからは毎晩、境内の松に不思議な灯がともった。竜宮の竜が灯に姿を変え、はるか沖からやってきて本尊の灯明となり松にともるのだと語られた。灯は朝になると自然に消えたが、その明るさは何十キロ四方を昼のように照らし、夜の沖を行く船はこれを目当てに無事に港へ着いたという。日間という地名もここから起こった。松は後に落雷で焼け、いまは二代目の竜灯の松が植えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。