国兼池の堤に沈んだ姉妹の人柱
どんな伝承か
広島県庄原市上原の国兼池は、もとから今のような大池だったわけではなく、堤を築いてはまた切れ、下流の村々が土砂に埋まって田畑を失う災難が繰り返された。村人は相談のうえ、築き直す堤の底に人柱を立てると決め、二十一歳のお国と十九歳のお兼という姉妹が選ばれた。白装束の二人は長い竹筒を手に穴へ下り、筒の下で線香を焚いた。煙が絶えるのが命の絶える時で、見えなくなったのは七日の後だったという。以後堤は抜けず、池には黒と赤の鯉が仲よく泳ぐようになり、姉妹の化身として捕ることを戒め合ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。