産湯の湯が絶えた薬師堂の井戸
どんな伝承か
大和町和木の王子原、奥まった谷の茂みに薬師堂が建ち、その脇に一辺六尺から四尺ほど、深さ二尺ばかりの小さな井戸が残る。この井戸からはかつて温かい湯が湧き、生まれたばかりの子の産湯に用いられていたという。ところがある時、一人の老婆がむつきをこの井戸へ投げ入れた。それきり湯は絶え、二度と湧き出すことはなくなったと伝えられる。産斉水(うぶゆみず)と呼ばれるのは、この由来による。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。