大晦日に狐が集まる装束榎
どんな伝承か
王子の榎町に、通称を装束榎という木があった。天保のはじめごろまで、毎年十二月の晦日の夜になると、東国各地から狐の群れがここに集まり、装束を改めてから王子稲荷へ参ったと伝えられる。その夜に狐たちが灯す狐火の明かりを見て、村の人々は翌年が豊作か不作かを占った。灯りのようすが、そのまま来る年の作柄を告げるものと受けとめられていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。