伐ろうとすると起き直る住吉宮の松
どんな伝承か
福岡市博多区の住吉にある住吉宮の境内には、一夜松と呼ばれる老樹があり、幹が神殿の方へ傾いている。永享十一年のこと、この松が社殿の造営の邪魔になるというので、勧進の僧である凡公幸が伐ることに決めた。すると松は二、三日のあいだに少しずつ起き直ったという。天和のころ神社を造営した際にも、奉公人たちが伐ろうと決議すると、一両日で上部が真っ直ぐになった。いまの松は枯れた木から芽を出したものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。