パシィヌ井戸で聞いた神詞
どんな伝承か
内原村すなわち下の村の田多屋の娘が、ある夜、倉の見回りに出てパシィヌ井戸で水を汲むと、倉の屋敷で見なれぬ二柱の神が神詞を唱えていた。とがめられた娘は詞を最後まで聞かせてほしいと願って許され、家へも来てほしいと乞う。神々は翌年八月の戊戌の日に再訪すると約して去った。約束の日、神々は田多屋を訪れて再び神詞を宣り、父娘の願いを容れてさらに翌年も現れた。以来この家は作物がよく稔り、子宝にも恵まれたという。話を聞いた村人一同が待ち受けた年を最後に神々は姿を見せなくなり、代わって戌年生まれの二人を神に扮させ、戊戌の日にパシィヌ井戸で口をすすいでから各戸を巡り神詞を唱えるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。