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弘法大師が錫杖で開いた重原の三つ井戸

所在地愛知県刈谷市重原(三井戸)
年代弘仁十三年(822)
登場弘法大師、佐次兵衛
出典愛知県伝説集

どんな伝承か

刈谷市の重原には、弘法大師の三つ井戸がいまも残る。弘仁十三年六月、嵯峨天皇の時代に、この地を巡っていた四十九歳の大師が喉の渇きを覚え、佐次兵衛という者の家に立ち寄って水を求めた。気のよい老人の佐次兵衛はすぐ裏手へ向かったがなかなか戻らず、ようやく水を持って来た。大師がわけを尋ねると、土地が高くて井戸が深く、年寄りの手で長い縄つるべを引くので手間取ったという。大師は礼にと家の前の少し低い所に立ち、経文を唱えて錫杖で大地を打つと、玉のような水が湧き出し、佐次兵衛は嬉し涙を流した。大師はその後二十一日間この地に留まり、村人の願いでもう一つ井戸を授けた。佐次兵衛井戸、乞井戸、慕井の三つがそれである。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))

『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。

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