見世物にされた大螺が残した三谷の地名
どんな伝承か
蒲郡市となった旧宝飯郡三谷町には、星越峠から五、六町ほど下ったあたりに昔大きな池があった。その池に稲むらほどもある大きな田螺が棲んでいたが、捕らえられて今の須田のあたりで長いあいだ見世物にされた。やがて死んだので村の西の川で洗い、蒲郡の魚市場に出すと非常な高値で売れたという。昔のことだからよほどの出来事だったのだろう、これにちなんで池をニシタ池、見世物にした須田を銭取場、川をニシタ川(今は西田川と書く)、魚市場のあった所をニシノコウリ(今の西の郷)と呼ぶ地名が生まれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。