鷹の巣を狙う大蛇を射た大沢の二人
どんな伝承か
猿投村の乙部と保見村の西広見は、大沢という沼地を挟んで広見の城主中条将監の領地だった。文和四年、将監の愛する鷹が大沢のそばの大木に巣を作ると、一抱えもある大蛇が木の周りを離れず巣を狙った。将監は村人に見張りを命じ、乙部の百姓茂左ヱ門と助三郎が当番の日、大蛇が巣へ鎌首を伸ばしたので二人は十八本の矢を射込んだ。急所を射られた大蛇がのたうつと黒雲がわいて暴風雨となり、二人は村へ逃げ帰った。大蛇は猿投山の鈴が滝まで逃れ、その血で滝川は真っ赤に染まったという。村人総出で射止めて頭を滝の近くに埋め、胴は弁天の社に祀ると雨乞いの社となった。二人は将監から大沢の姓を賜った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。