山崩れから光で現れた大日如来
どんな伝承か
長沢村の栄善寺の大日如来には由来がある。昔、弘法大師がこの村の霧山あたりを巡ったとき、麓に住む藤原某が、目の見えない一人息子を治してほしいと涙ながらに訴えた。大師はすぐに大日仏を一体刻み、これに祈るよう教えた。親子が祈ると息子の両眼はたちまち開き、礼に西興寺を建てて像を祀った。承応三年に山崩れが起きて寺も像も流されたが、しばらくして村の岡前あたりの地中から毎夜怪しい光が出て栄善寺の方を指す。村人が山崩れの跡を掘り返すと大日如来像が出てきたので、栄善寺に安置して祀るようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。