閻魔王宮から七日で蘇った僧妙達
どんな伝承か
越後との国境に近い出羽国田川郡の竜花寺に、妙達という僧がいた。将門の事件から十年ほど後の天暦五年、妙達は入定して閻魔の王宮に到ったが、生前に法華経を読誦していた功徳によって許され、七日の後に蘇生したという。その顛末をくわしく記した『僧妙達蘇生注記』によれば、妙達は冥府で蘇生を許された後、閻魔王に乞うて父母の生処を見せてもらい、さらに国中の諸人や知友らの生処をも教えられた。その中には将門やその子良門、将門の私君であった太政大臣藤原忠平らの名も見えているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。