お三の宮
どんな伝承か
現在の伊勢佐木町一帯は、昔は鐘形湾という入り海だった。江戸初期、豪商吉田勘兵衛が約十年と八千両を投じて埋め立て、広大な吉田新田を造り上げた。完成は寛文七年。埋め立ては難工事で、防波堤が雨風のたびに崩れ、人柱が必要とされたとき、勘兵衛宅の下女おさんが「長年の恩返しに」と自ら人柱を申し出た。以後、堤防は壊れず工事は見事に完成した。おさんの霊を祀ったのが日枝神社で、土地の人はお三の宮と呼ぶ。祭りの前に降る雨はおさんの湯あみ雨と伝わる。
原典より
芦の湖の九頭竜明神(足柄下郡箱根町) 二二七禁忌の伝説 二三一トウモロコシを作らぬ谷戸(川崎市野川) 二三一地名の伝説 二三九—— 神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。