荒次郎の首の怨霊
どんな伝承か
永正十五年(一五一八)、北条早雲に攻められた三浦氏最後の砦新井城で、三浦道寸の子荒次郎は八十五人力の怪力で白樫の丸太を振るい、北条方の五百余人を倒したが、ついに自ら首をかき落として死んだ。その首は宙に舞い上がり、相模湾を越えて小田原城の西、板橋の東海道沿いの松の枝に掛かった。まなじりの裂けた恐ろしい形相で、下を通る旅人は首を見ただけでその場で命を落とし、首は三年の間死ななかったという。北条五代記によれば、久野の総世寺の住職が訪れて歌を手向けると、首はたちまち目を閉じて白骨となった。松の下に祠を建てて荒次郎の霊を祀ったのが居神神社だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。