愛鷹翠丸の忠死
どんな伝承か
百合若が戦で死んだと知らされた春日姫は、別府兄弟が悲しむどころか毎日遊びふけるのを見て二人を疑うようになり、兄弟に一室へ閉じ込められた。姫が百合若の飼っていた鳥を籠から放すと、鷹の翠丸だけは離れようとせず、握り飯を与えるとそれをくわえて北へ飛び去った。玄界島で暮らす百合若のもとに翠丸が舞い降りて握り飯を置くと、百合若は指を噛み切った血で木の葉に歌を書いて脚に結び、翠丸はそれを姫に届けた。喜んだ姫は紙や筆、硯をくくりつけて送り返したが、荷の重さに力尽きた翠丸は海に落ちて死んだ。浜に打ち上げられた亡骸を見つけた百合若は涙を流し、島の丘に手厚く葬った。これが小鷹大明神だという。
原典より
そして、翠丸を島の小高い丘にていねいに葬ってやりました。—— 大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話)
『大分県の民話 第2集』は、土屋北彦による大分県の民話集である。日田の鬼大夫永季、府内の山弥長者、柞原八幡縁起、小豆研ぎ、百合若物語りなど、県内各地の長者譚・社寺の縁起・人柱・妖怪・英雄の伝説を、古代から江戸時代までの年号や現在の市町村名を添えて語り直す。三十二話を一話ずつ題を立てて並べ、多くは「です・ます」の語りで、方言による短い昔話も交じる。