百合若の帰還と復讐
どんな伝承か
置き去りから三年目の夏、嵐で流れ着いた壱岐の漁舟に乗せてもらい、百合若はようやく豊後へ帰った。髪は伸び放題で垢に黒ずみ、ぼろをまとった姿に誰も国司とは気づかず、島で捕らえた鬼だとうわさになった。別府兄弟は古国府の館に呼び寄せ、垢丸と名づけて館に置いた。翌年正月七日の競射の日、矢拾いの垢丸は太郎の弓を笑い、貸された弓をたやすくへし折った。次郎が島から持ち帰った強弓を渡すと、垢丸は正体を名乗って太郎を狙った。太郎は丘に隠れたのち高崎山の向こうへ逃げたが、百合若の矢は山を越えて石垣原で太郎の背を射抜いた。百合若は姫と再会して再び九州の大司を命じられ、嵯峨天皇の代に万寿姫を弔う薦山万寿寺を建て、翠丸のためには荏隈郷に御鷹宮を建てた。
原典より
と言うと、ボキボキといとも簡単にへし折ってしまいました。—— 大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話)
『大分県の民話 第2集』は、土屋北彦による大分県の民話集である。日田の鬼大夫永季、府内の山弥長者、柞原八幡縁起、小豆研ぎ、百合若物語りなど、県内各地の長者譚・社寺の縁起・人柱・妖怪・英雄の伝説を、古代から江戸時代までの年号や現在の市町村名を添えて語り直す。三十二話を一話ずつ題を立てて並べ、多くは「です・ます」の語りで、方言による短い昔話も交じる。