乳の願いをかなえた比丘尼の槻
どんな伝承か
大宮市櫛引の観音堂の前には、八百比丘尼が植えたという槻が二本あった。『新記』の観音堂の条によると、堂の前七、八間の所に幹回り二丈ほどの槻の大木が二株あって神願木と呼ばれ、乳の出ない者が祈れば立ちどころに効き目があったという。今は大木はなく、その場所には平田篤胤の門人平正彦が、比丘尼の植えた二本の木をしのんで詠んだ歌を刻んだ碑が立っている。
原典より
櫛引の観音堂の前に八百比丘尼の植えたという二本の槻があった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。