火石に追われた放牛の崖飛び
どんな伝承か
天明三年(一七八三)三月、青ヶ島で起きた噴火被害の記録。三月九日夜、大きな地震の後に池の沢から火石が吹き上がり、島の家々を焼いた。火石が降り出して手の施しようがなくなったため、飼牛の綱を解いて放したところ、牛は苦しんで駆け回り、コシと呼ばれる外側の崖から飛び降りて死んだものが過半に及んだ。残った三十頭ほどは、岩陰の草を集めて養い続けられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。