天明五年の青ヶ島池の沢大噴火
どんな伝承か
天明五年三月十日の巳の上刻頃、例の池の沢から俄かに山焼けが起こり、まず白煙を吹き出し、次いで黒煙が夥しく立ち登って島中を真暗に覆った。その間に火石が飛び泥土が降り、恐ろしい音響とともに大地が震動して、黒煙の中からは折々稲妻のように火炎の燃え上がるのが見えた。八丈から見届けに出た船頭惣兵衛は、島の周囲一円が黒煙で磯際から絶えず火炎が立ち、空中にも火玉が閃くのを望み見て引き返した。噴火は二十日近く続き、十八日頃から一層猛烈になったと、名主七太夫らは注進している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。