崖上に助かった一頭の大牛
どんな伝承か
天明五年四月、八丈から御救い穀を積んで青ヶ島へ渡った一行が持ち帰った話が二つある。一つは島の大神宮の御山にだけは火炎が及ばず、そこへ逃げ込んだ者はみな無事だったという神徳のありがたさ。もう一つは、飼っていた牛がことごとく焼け死んだ中で、たった一頭の大牛が人の通えぬ崖の上に生き残っていたという話である。そのころ島はすでに一面の火で、人家も焼け失せ、老幼男女が浜へ下り、潮に浸り岩にすがって嘆き悲しんでいたと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。