仙台方言集を編んだ教授夫人
どんな伝承か
仙台の土井教授の夫人が、最も新しい型の仙台方言集を作って柳田国男らに見せた。柳田は、一年経ったからもう忘れてよいというような小さな功績ではないとし、世の奥様方に、奥様にもできる仕事の最も上品な一例を示したものだと評した。外国にはこの方面に男まさりの研究者が随分あって、わずかな調査で得意になろうとする者を苦笑させる本を著しているが、日本ではまず一般になお準備時代であるという。方言や俗信のように緻密な観察を要する学問には、髭のない人のほうが適するのかもしれないとも記す。あわせて、方言の問題でまず決せられねばならぬのは「方言とは何ぞや」であろうと説き、首府以外の地で使うものが方言だと簡単に決めてしまうことはできないと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。