カリヤの王子権現と五人の公卿
どんな伝承か
「土佐州郡志」に載る口碑によれば、長岡郡下名という村から西北の伊予へ越える路の傍らに王子権現のある地があり、土地の人はそこをカリヤと呼んでいる。その昔、京から五人の公卿が流されて来てここにいた。里人が同情してその無聊を慰めるため、毎年八月二十三日から二十八日までこの地に市を立てた。隣国の商人も次第に来たので仮屋といったといい、上仮屋・下仮屋と南北に店屋を設けて運上を収めた。王子権現は五人の公卿が没したのを祭った社である。後に伊予の商人が運搬に不便だとしてその市を川之江町へ移し、その折の約束として入子鉢・杓子・折敷・曲物の四種だけはこの村以外の者に売らせなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。