越前から移ってきた孫杓子
どんな伝承か
越前湯ノ尾峠の孫杓子は、峠の茶店の亭主が疱瘡神と契約し、子々孫々その災いを免れる保障を得たという由来談で知られ、社の正体は一本の杓子だったらしい。ところがこの杓子は天明年中にはすでに江戸へ移り、駒込七軒寺町の海蔵寺に祀られて相応の信者を集めていた。長徳四年に峠で疱瘡神が安倍晴明に験を示したという新しい縁起まで作られている。しかも本山の湯ノ尾峠でも守り札を出し続け、一方では越前領主の若君が疱瘡で世を去ったため社壇を壊され、神主ともども国を追われて江戸へ来たのだと噂されていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。