大杓子を先頭に立てる愛宕社の祭
どんな伝承か
大杓子で世に知られた芝愛宕社の正月二十四日の祭は、伊勢の津の観音寺で二月一日に行われる鬼押えの式とよく似ていた。どちらも毘沙門天の使者と称する者が武具を着け、大きな杓子を手にして行列の中心に立つ。美濃の美江寺の御蠶祭では、生身の人間の代わりに大人形へ大杓子を持たせ、山車に載せて牽き歩き、その杓子が上を向くか下を向くかで一年の晴雨を占ったという。柳田は、神の種類も祭の目的も問わず杓子が働きに出ることから、杓子を魂の宿る器と見た古い考えを想定した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。