豊永郷の深山から連れ来た山ミコ
どんな伝承か
寛永十九年壬午の春、豊永郷の深山から、山ミコと呼ばれる者が高知へ連れて来られた。大柄な男で肉づきは逞しく、年齢は六十ばかりに見えたという。食物を与えれば何でも食べた。二、三日して、元の所へ返し遣わされたと『土州淵岳志』にある。豊永は吉野川の上流、土佐長岡郡にあたり、この辺りでは山ミコという呼び名もあり、その者の元の居所も知れていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。