堂突の輪に加わった臨終の父
どんな伝承か
土淵村の中央、役場や小学校のある所を字本宿という。ここで豆腐屋を営む政という者の父が大病で死のうとする頃、小烏瀬川を隔てた字下栃内で普請があり、地固めの堂突をしている所へ、夕方に政の父が一人で来て人々に挨拶し、自分も堂突をしようといってしばらく仲間に入って働き、暗くなってから皆とともに踊った。後で人々は、あの人は大病のはずなのにと不思議に思ったが、聞けばその日に亡くなったという。悔みに行ってこの話をすると、その時刻はちょうど病人が息を引き取ろうとする頃であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。