常堅寺を訪ねた病老人の影
どんな伝承か
土淵村大字土淵の常堅寺は曹洞宗で、遠野郷十二か寺の触頭である。ある日の夕方、村人某が本宿から来る路で、かねて大病をしている老人に会った。いつの間によくなったのかと問うと、二三日気分がよいので今日は寺へ話を聞きに行くのだといい、寺の門前でまた言葉を掛け合って別れた。常堅寺でも和尚はこの老人が訪ねてきたので出迎え、茶を勧めてしばらく話をして帰した。これも小僧に見させたところ門の外で見えなくなり、驚いて和尚に語り、よく見れば茶は畳の間にこぼしてあった。老人はその日に亡くなっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。